代表理事挨拶

大隅 久

2017年度より、日本時計学会代表理事を仰せつかりました。大役ではございますが、理事の皆様と力を合わせ、円滑な運営を心掛けてまいりますので、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

さて、日本時計学会は1948年に創設されて以来、時計に係わる技術を追求して今日に至っています。その間、時計は機械式からクォーツ、電波時計、GPSウォッチと、精度が飛躍的に向上し、機械式時計では最も重要な要素であった時計の精度も、日常生活においてはもはや気になることはありません。携帯電話から進化したスマートフォンがあれば、時計の役割であった時刻を提示するだけでなく、GPSで自分の位置までわかります。一方腕時計の方も、様々なマイクロセンサを備え、情報通信端末としての機能が強化されつつあります。このような時計の進化と共に、それを支える技術の裾野もどんどんと広がっており、これらを小さなパッケージに組み上げるという究極のシステムインテグレーションこそが現代の時計技術と言えます。そして、このようなシステムインテグレーションの鍵となるのが、技術者間だけでなくユーザまで含めた、分野横断的な意見交換、技術交流、そして連携です。また、時計の進化がこのように進む一方で、歴史と伝統のあるブランドや精巧なメカを備えた機械式時計に対する魅力も健在です。最近では、現代の最新技術でトゥールビヨンを再現したもの、新たなデバイスを用いた画期的な構造の置時計、マイクロ技術を応用した超薄型の腕時計など、従来の概念の時計でありながら、最先端技術の粋を集めたものが数多く登場しています。ただしこれらが魅力的であり続けるには、時計を利用する方々の声に絶えず耳を傾けることが欠かせません。

日本時計学会は、その名の通り日本で唯一の時計技術に特化した学術団体であり、国内の主だった時計メーカが全て参加する、長い歴史と伝統を有する学会です。毎年9月にはマイクロメカトロニクス学術講演会を開催し、各社の取り組む最先端技術の報告や製品展示、また、時計ジャーナリストの方や独立時計師の方からの特別講演など、魅力的な企画を実施しています。

今後は、学会誌マイクロメカトロニクスにおける、機械式時計に関する歴史からGPSを利用した最新技術まで、幅広いテーマについての特集や、日本時計学会ホームページを利用した時計の魅力についての情報発信を強化していきます。また、昨年来の取り組みですが、学術講演会において、関連企業、周辺分野の技術者の方々、更には時計を趣味とする方々の意見交換、交流の場を積極的に設けていく予定です。そして、この交流の場を提供することこそ、当学会の最大の使命であると考えています。これからの日本の時計産業の発展に向け、皆様の積極的なご参加を、心よりお願い申し上げます。

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